【コラム】メンタルのしんどさを、まわりにどう説明する?

コラム

精神的にしんどいときに、だれかに支えてもらうことは大切です。

メンタルケアにおいて、孤独を避けるということは、回復を早めることと、悪化を防ぐどちらにとっても大切なことです。

しかしながら、うつや気分の落ち込みといった精神的な不調は他人に伝わりにくい。
そのため、まわりの人たちは良く分からないまま「こうしたらいいだろう」という経験や思い込みに基づくアドバイスをして、しんどくなっている当人にストレスをかけることがあります。

いわれた当人も、「しんどくて言い返せない」「いいかえすと関係が悪化するから言いたくない」「しんどいのは自分が悪いのだから、我慢しよう」という気持ちになって沈黙します。

沈黙して、さらにしんどそうな様子をみていると、まわりの人は「しんどそうだから、何かしなければ」と、加えてアドバイスを重ねたりして、結局悪循環を重ねます。
こういった悪循環はメンタルのしんどさを抱えている人の周囲でとても良く起きることです。

ではどうすればいいのでしょうか。

本人のどうしたいかを聞く

「本人の話を聴きましょう」
これはメンタルヘルスのケアのときに、良く言われる話です。
しかし、これは実際にはなかなか難しい。
本人がしんどいと言っているのをみると、どうしても「じゃあ、休んだら」など声をかけてしまう。
動かずにじっとしているのを見ると「ちょっと運動してみたら?気持ちが変わるかもよ」という。
こういったことを思わず、まわりの人は言ってしまいますが、これは本人にとっては、大きなストレスになるかもしれません。

これまでのコラムでも触れてきたように、メンタル的にしんどいときは「休みたいのに、休めない」「どれだけ休んでも、しんどさがとれない」という状態です。

それなのに「休んだら?」といわれると、「休んでもどうにも回復しないから悩んでいるんだ」という気持ちに水を差すことになり、場合によっては相手を追い詰めるのです。

「運動してみたら?」も同じです。運動できるぐらいなら、回復していますし、気持ちがどうやっても変わらないからしんどいのです。

ではどうすればよいのでしょうか。

それは本人に「どうしたいのか」を聞くということです。本人の意向を確かめてから対処することです。

「ほっておいてくれ」といわれたら、放っておく。
「うるさい」といわれたら、静かにしておく。
何か話しはじめたら、本人が聴いてほしそうなら、話を聴きます。

この「ほっておいてくれ」というのは、こちらを否定しているわけではありません。
一人になりたい、一人の時間が欲しいという意味です。そこまでを説明する気力もないし、思考も働かないので、そう言うのです。

「うるさい」というのも、まわりの色々な音や刺激がしんどいので、静かに休みたいという意味です。
まわりの人が、かかわりすぎでしんどくなっているというときにも、出てくる言葉です。

こういった激しい言葉は、メンタル的に余裕がなくなってしんどくなっているときに、自分の身を守るために反射的に出てくる言葉です。こちらへの攻撃だと取らなくても良いです。

本人の意向とは、そういった「ちょっとした態度や言葉」に現れてきます。
メンタルの状態は常に波があるので、「前はほっておいてと言ったのに、今日はやたらと話しかけてくる」ようなことが起きてきます。これは不思議なことではなく、それこそが気分の波です。

どちらの波が出てきたとしても、変わらずにマイペースで対応していると、当人は「この人は安心できる」となって、ストレスが減るのです。

そしてストレスの少ない対人関係に見守られた環境にいることが、回復をささえるのです。

まわりの人にどう説明する?

こういったコラムを読んだ、メンタルがしんどい本人はこう思うかもしれません。
「たしかに、それは当てはまる部分はあるけれども、だからといって、この内容を理解してくれるとは限らない」
それは確かにその通りだと思います。

メンタルのケアに関心を持つ人は多いのですが、メンタルのケアを上手にできる人はまだまだ少ないのが現実だと思います。

そういった現実を考えると、自分をケアしようとしてくれている人に「こういったコラムがあるけれども読んでみてくれない?」と提案してみてください。

提案しても変わらない人であれば、今は少し距離を取っても良いかもしれません。それは直接関わらないようにする、というわけでもなく、とりあえずは「あまり真に受けすぎない」ようにすることです。

メンタルがしんどいときは、相手の視線や言葉、態度が、胸に突き刺さるようなストレスを感じます。回復のためにはストレスを避けることが最優先なので、距離を取ることは自分のためにもなります。また支援をする側が望んでいる「当人の回復」にもつながるのです。

コラムを読んで、理解を示してくれそうな人がいたらどうでしょうか。
「どうすればいい?」と聴かれたらこう答えてください。

「今、考えるのがしんどいので、答えられるまで待ってほしい」

それに対して「わかった」といって、せかさずに余裕をもって待ってくれる人。
その人は、ケアが上手な人なので、そこから少しずつ「こうしてほしい」を伝えると良いでしょう。

このような支援のポイントを伝えたとしても、実際に出来るようになるのは大変です。どうすればよいのかわかる、またはどうしてほしいかがわかるようになるまでは、多くの試行錯誤と時間がかかります。

そういったときに「変わらないから諦める」必要はありません。諦めずに続けていくと、変化は少しずつ訪れます。

どうしたらよいのかわからない、先が見えなくなったというときは、自分で「もう無理」と結論を出す前に、カウンセラーを含めた専門家に相談して下さい。専門家に相談することで、あっさりと「まだ出来ることがあったな」ということが見つかるかもしれません。

 

プロフィール
この記事を書いた人
三輪 幸二朗

Mitoce 新大阪カウンセリング代表
臨床心理士

Mitoce 新大阪カウンセリング
電話番号:06-6829-6856
メールアドレス:office@mitoce.net

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