【コラム】自分のしんどさを、誰かに話すということ

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精神的につらいとき、そのしんどさを誰かに話せているでしょうか。

いざしんどくなってみると「話す」ということがいかに難しいか、身にしみて感じる方も多いのではないでしょうか。

 

なぜ「しんどい」と言えないのか

「まわりに迷惑をかけたくない」「負担をかけてしまうのでは」。こころが追い詰められるほど、こうした思いが強くなります。そして「弱音を吐くのは申し訳ない」という気持ちが、言葉を飲み込ませてしまいます。

それだけではありません。

「言って怒られたらどうしよう」「わかってもらえなかったら、もっとつらい」という不安もあります。他人を信頼してよいのかどうか、迷う気持ちもあるでしょう。

こうした不安の背景には、「以前、伝えたけれど理解してもらえなかった」という経験があることが少なくありません。

では、振り返っていただきたいのですが、そのときどのように伝えたのでしょうか。

多くの場合、
「少し、提出が遅れてもいいですか」
「ちょっと、休ませてください」
といった、ひと言だったりします。

本人にとってはそれが「勇気を振り絞った、精いっぱいのひと言」であっても、受け取った側には「少し調子が悪いのかな」程度にしか伝わっていないことがあります。「ちょっと休めば大丈夫だろう」と、軽く受け取られてしまうのです。

本人が感じているしんどさと、周囲の受け取り方には、大きなズレがあるのです。

だから「頑張って言ったのに、わかってもらえなかった」と感じ、もう言うのをやめよう、と諦めてしまうのです。

 

「伝わらなかった」ではなく「伝わりにくい」

ここで大切なのは、「こころのしんどさは、言葉にしても他人には伝わりにくいものだ」ということをあらかじめ知っておくことです。

それを知っていれば、うまく伝わらなかったときに「自分の伝え方が悪かった」ではなく、「しんどさというのは、そもそも伝わりにくいものなんだ」と受け止めることができます。

「とにかく伝えた」という一歩を、自分でちゃんと認めることができるのです。

 

理解してもらいやすい相手とは

では、こころのしんどさを受け取ってもらいやすいのは、どんな人でしょうか。

①自分自身も、精神的なしんどさを経験したことがある人

同じような経験を持つ人は、「誰にもわかってもらえない」あの感覚を自分ごととして知っています。だからこそ、ちょっとした言葉の裏にあるしんどさを、感覚的に察することができます。

ただし注意も必要です。自分の体験をもとにしんどさを理解しようとするあまり、「自分のときはこうだった」という経験を押し付けてしまうことがあります。善意からの言葉であっても、「少し違うんだけど」と感じても言い返しにくいという場面も起こりえます。

 

②メンタルヘルスの専門家

専門家は「ちょっと休みたいです」というひと言の裏に、どれほどのしんどさが隠れているかを経験と知識から読み取ることができます。状態を客観的に把握したうえで、その人に合った対処法を一緒に考えることができます。これが経験者と専門家の大きな違いです。

 

それでも話すことには意味がある

「言ったところで、何が変わるんだろう」と思うかもしれません。

もちろん、話すだけですべてが解決するわけではありません。ただ、「行き詰まった感じ」や「自分だけが孤立しているような感覚」が、少しだけやわらぐことがあります。その「少しだけ」がとても大切です。

「どうにもならない」と思っていたことが「少し軽くなった」と感じられる——それだけで、次の一歩を踏み出す力になります。回復とは、そうした小さな一歩の積み重ねだからです。

完全にわかってもらうことは、どんな優秀なカウンセラーにも難しいことです。ただ、「理解しようとしてもらえた」「わかろうとしてくれる人がいる」と感じられること、それ自体が安心を生みます。安心はしんどさから回復するときに、とても大きな支えになります。

伝わらなかったといって、自分を責める必要もありません。もちろん、相手を恨む必要もありません。しんどさとはそういうものです。完璧に話せなくても充分です。「なんかしんどい」。そのひと言が、最初の一歩です。

誰にもわかってもらえないから、もう諦めよう。そう感じているなら、一度、専門家に話してみてください。回復への方向性が見つかるかもしれません。

プロフィール
この記事を書いた人
三輪 幸二朗

Mitoce 新大阪カウンセリング代表
臨床心理士

Mitoce 新大阪カウンセリング
電話番号:06-6829-6856
メールアドレス:office@mitoce.net

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