【コラム】「完璧に治ってから戻る」という思い込みを手放す

コラム

しばらく休職していた方が、復職を検討するときにこのようなことをしばしばおっしゃいます。

「まだ、完璧に治っていないから、戻るのは早いと思う」

たしかに、そのような気持ちになることも理解できる部分があります。

これまでみてきたように、行動をするときには慎重であり、またしんどさを感じるときには無理をしない。これは基本的な方針としては、とくに変わりありません。

しかし「完璧に治ってから戻る」となると、そこは少し検討が必要になってきます。

というのも「完璧」とは何でしょうか。
「完璧に治る」とはどのような状態を指すのでしょうか。

 

昔は「自分は完璧だったはず」

「仕事を休む前は完璧だったのでしょうか」このような質問をすると、多くの方はすぐに気づかれます。「そうではなかったと思う」と。

しんどくなって休んでいる間に、今の自分はとにかくダメな状態で、休む前の状態に戻さなくては、という思いが強くなる方がおられます。

しかし振り返るとすぐにわかります。

「休む前もかなりしんどかったのではないでしょうか」

休む前もしんどかったはずです。「完璧な自分」というのは、過度に理想化した思い込みかもしれないのです。

そうなると「完璧になってから戻る」という目標は、現実としてどのような状態を指しているのかよく分からなくなります。

「しんどさをあまり感じなかったとき」とおっしゃる方もおられるのですが、休んでいる期間にわかってくることは「しんどいはずなのに、感じずに無理をしていた自分」です。

そのため「しんどさを感じない」自分というのは、目標にならないのです。

では、どのような状態が目標になるかというと、

「しんどいときはしんどいと感じる」「疲れたら休む」「無理をしすぎない程度に動く」

といった、休んでいる間に見つけているこうした行動の継続なのです。

では戻るタイミングはどうすればよいのでしょうか。

 

自分で戻るタイミングを考える

体調が落ち着いてきて、自分の状態が理解できるようになってきたとき、「そろそろ戻ろうと思う」という考えが自然と出てきます。それはこれまでの「焦って復職しなければ」という気持ちではなく、余裕をもって色々と考えた結果として「戻ろうと思う」と検討し始めます。

ただし、ここで大切なのは「検討する」ことであって、まだ「絶対に戻る」という結論を出すわけではないことです。いくつかの選択肢の一つとして「戻ることも考えてみる」ということです。

そして「戻れそうだったら戻る」。これは体調だけではなく、戻ったあとその職場で働けるか、もしくは働きたいかということも含めて検討した結果です。

働けるかどうかは、職場の受け入れ態勢であるとか、職場の雰囲気であるとか、または仕事の内容とか、いろいろな要因が重なってきます。それらを含めて検討をしてみてください。

そして、多くの場合は「まだしんどさは残っているけれども、なんとか復帰できるぐらいの体調が戻ってきた」段階で職場復帰をします。「職場で働きながら、しばらくはリハビリ期間が続いている」と思うと良いでしょう。

「しんどさを感じるのがゼロになって戻る」のではなく、「戻れそうになってきたから戻る」のです。

「戻ろうかな」と思ったときは、主治医や産業医など、専門家からの客観的な意見を求めてください。専門家は基本的に慎重な判断をするので、「もう少し待ってみましょう」というときもあります。そのときは、もう少し待てばよいと思います。そこで落ち込む必要はありません。

「もう少し様子を見てから決めましょう」と言われたときに、「もう少し待って、様子を見てからまた聞いてみよう」と思えたのであれば、それはかなり回復が進んできて余裕が回復してきていると思ってよいでしょう。

プロフィール
この記事を書いた人
三輪 幸二朗

Mitoce 新大阪カウンセリング代表
臨床心理士

Mitoce 新大阪カウンセリング
電話番号:06-6829-6856
メールアドレス:office@mitoce.net

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