【コラム】好きだったことが楽しめなくなる 

コラム

「前は○○することが好きだったのに、全くしようとする気持ちが起きない。というか、見るのさえしんどい」
このような体験をしていないでしょうか。

休職をしばらくしていて、少し回復し始めると、「何をしたら良いのだろうか」という気持ちが出てきます。しかし「何をすればよいのか思いつかない」というような状態を迎えます。

これは悪化の兆候ではなく、回復の過程で多くの方が経験することです。

「何かしなければ、と思うけれども、何もできることが見つからない」のです。

 

何かしなければ、けれどもまだしんどい

「何かしなければ」という思いは、「何かしなければ自分がダメになってしまうのでは?」という焦りから出ているときは、まだ行動をするべきタイミングではないかもしれません。それよりもまだ、「何もせずにゆっくり過ごす」ことが大切といえます。焦りが出る、ということは「余裕がまだない」といえるからです。

さらに回復してくると、「何か出来そうな気持がする」というタイミングが出てきます。

そのときに「趣味」「気晴らし」として、以前にしていたことを試すと、大抵は失敗するでしょう。
「そんな気持ちになれない」「楽しめない」それどころか「面倒」とさえ思います。

メンタルが不調のときには、「物事に興味を持つこと」「感情が動くこと」これらが大きく阻害されます。つまり、興味を持てない、喜怒哀楽の感情が上手く働かない。そのような状態になるのです。
そのため「趣味を楽しむ」「気晴らしをする」というのは、まだ難しいのです。

だからといって「自分は二度と趣味を楽しめなくなった」と思う必要はありません。回復すると、また楽しめるようになります。ただし、「趣味を前のように楽しめる」「気晴らしができるようになる」のは回復のかなり後半ですので、まだまだ焦らなくて結構です。

では「何かしなければ」と思ったとき、どのようなことをすればよいのでしょうか。

 

しんどいときでもできること

どうしても何かしたいとき、まずメモとペンを用意してください。
書くのがしんどいときもあるので、文章をまだ書く必要はありません。
単語だけで充分です。しかもいきなり書く必要はないので、準備だけしておいてください。

白紙とペンをみるだけでしんどい。

そういう状態の方もおられます。それが今の自分の状態だと思ってください。
実は「白紙とペン」のように、「自由に何かするのはしんどい」のがこの時期です。
そのため「何かしようとする」つまり「白紙に思いついたことを書く」のがしんどいのです。

ほかにも「しなければならないこと」はしんどい。家事、風呂、食事。そういったこともしんどい。
食事はとれるようになったとしても、風呂に入れなかったりします。
でも、体を拭くことがたまにできたりします。そしてたまにできたら、さきほどのメモに「体拭いた」と日付とともに書いてください。それが「今できること」です。

「体拭いた」日が、週に1回だったのが、3日に1回になったり、毎日になったりします。
すると「風呂」の日が出てきます。そうなると「体拭いた」日がなくなって、そのうち「風呂の日」が増えていきます。それが「徐々にできるようになること」です。

つまり、「身近でとりあえずしてみた」程度のことであれば、この時期はできます。

新しい習慣を身に着けたり、趣味を楽しむ、気持ちや体調を変えるような活動は、どれも負担が大きすぎます。「この程度のこと?」というような、ちょっとした習慣であれば、できたりします。
テレビを見る、音楽を聴く。どれもできなかったけれども、「今日はお茶を淹れた」その程度です。

これを知っていると「できなくなった」と落ち込む必要がないことを少し理解できるかもしれません。
あせらずに、できることだけをほんの少しする。それがこの時期を乗り切って回復へと進むためのポイントです。

 

プロフィール
この記事を書いた人
三輪 幸二朗

Mitoce 新大阪カウンセリング代表
臨床心理士

Mitoce 新大阪カウンセリング
電話番号:06-6829-6856
メールアドレス:office@mitoce.net

三輪 幸二朗をフォローする
コラム
シェアする

コメント

タイトルとURLをコピーしました