休職し始めたときは、仕事を離れて生活するということに慣れません。
休職といっても、それはこれまでとは違う「休むことを目的」とした、新しい生活を始めるからです。こんなに何もせずに過ごしていいのか、ずっと家にいてもいいのだろうか。そういった罪悪感のような気持ちが出てきます。
外出の頻度も減り、とくに外出することもない、何かをするのもまだしんどいし、何をしてよいのかもわからない。
そのような生活の中で、唯一通う場所が病院やクリニック、そしてカウンセリングなど、治療やリハビリの場所だったりします。
休職してしばらくすると、治療としては安定をし始めます。
薬が大きく変わるわけでもない、仕事に関する悩み事は、とりあえず状況から離れたので、切羽詰まったわけではない。
そのため、治療を受けに行っても、話すことが無くて何を話せば良いか分からないという気持ちになったり、また「今の治療を続けていて大丈夫だろうか」という不安が出てきます。大切なのは、この感覚は「休息が取れて、休めているから出てくる感覚」だということです。
回復の兆し?
どのように回復は起きてくるのでしょうか。
メンタルヘルスの回復過程をみてみると、いわゆる「症状が全くキレイになくなって、楽になった」とある日感じる、というのはないことがわかります。
自分でも気づかないぐらいに、徐々に回復していって、ある日「そういえば、最近あまりしんどい日が出てこないな」ぐらいの感覚になる、というのが回復過程です。
怪我や風邪とは回復のイメージは大きく違います。
そうなると「良くなっているかどうかを自分で気づきにくい」のが特徴なのです。
つまり、回復が始まっていても「自分は全く良くなっていない」と感じてしまい、気分が落ち込んだりするのです。そして落ち込むと、それが不安やストレスになって、またしんどくなる。こういう繰り返しをする人が多いのです。
では、どのようなことが回復の始まりといえるのでしょうか。
回復の始まりは見えにくい
先ほど説明した、「あまり変わっていない感じがする」。これは回復の始まりだといえます。
というのも、それまでは「仕事のことで頭がいっぱい」「あせりの気持ちばかりで、休んでもいられない」「時間が動いていると感じるのもしんどい」という状態でした。それが「とりあえず仕事は外れた。気になるけれども置いておくしかない」「まだしんどいときはあるけど、前よりは動けている」など、小さな変化が起きているのです。
もちろん、しんどさやあせりがゼロになっているわけではないので、「良くなっていない部分」は意識しやすいのです。とくに「すっきりと眠れない」状態は残りやすいので、「治っていない部分」に注目しやすいです。
治療者に伝えること
この時期に「何も変わっていないかも」と考えて、治療を離れるのはあまり得策ではありません。それよりも「変わっていないように見えるぐらいの変化」つまり安定の始まりがやって来ているともいえるのです。
治療者にどのように自分の状態を伝えればよいかということですが、シンプルなことを伝えるのが大切です。
・寝つきは良いか、夜中に目が覚めるか、朝起きたときの状態はどうか。
・昼間は何をして過ごしているか。
・食欲はどの程度あるか。食べたときの味はするか。
・気分の落ち込み、体のだるさ、気持ちの焦りがあるか、ないか。
・自分を責める気持ちがあるか、ないか。
といった内容です。
このような状態は「具体的に説明しやすい」内容なので、治療者側としてもわかりやすいですし、自分自身でも変化を自覚しやすいものです。
また、変化をしていても自分では気づけないことがあるので、こういったことを簡単で良いのでメモをしておくと、変化に気づきやすいかもしれません。
つまり、なぜ治療に通うかというと「自分の状態を一旦、誰かに伝えて客観的に理解する」というのも大切な理由のひとつです。一人で考えていると、自分がどんな状態なのか見えなくなって、不安が高まってしまうので、こういった「専門家に状態を知ってもらう」ことが大事なのです。
停滞しているように見える時期は、決して「治療が止まっている」時期ではありません。むしろ、この時期にどう治療者と関わり続けるかが、この後の回復過程にもつながっていきます。


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