Q.71 認知行動療法を受けたのですが、良くなったと思うけれども何か物足りないんですが、私が変なのでしょうか。

よくある質問・カウンセリングの疑問

このような意見を伺うとまず思いつくのは、心理療法はそれぞれ相性があるということです。

どの心理療法にも長所短所があるので、ひとつの心理療法を受けていれば、それで充分だということはないと思います。それは認知行動療法もそうです。

認知行動療法は具体的な方法や目的が明確なため、取り組みやすいという利点があります。ターゲットとするこころの状態をみて、そこに至るまでのプロセスもわかりやすいです。
最近は具体的な課題を取り上げて、それに取り組むアプローチが多くなっているので、「カウンセリング=認知行動療法」と思っている方もいるかもしれません。認知行動療法を受けて症状が良くなったという方もおられます。

しかしながら、上記のような質問も少なからず出てくることがあります。「認知行動療法だけでは、充分ではないような感じがする」
そのような方は違うアプローチを試してみても良いかもしれません。そこで私は深層心理学を専門としているので、どこが認知行動療法と違うのかを説明したいと思います。

 

深層心理学はこころを深く掘り下げる

深層心理学は、こころの深層に働きかけるアプローチです。こころの表層の部分を意識、深層の部分を無意識として分けます。
そして、こころの深層から沸き上がってくるイメージを大切にします。こころの内側から現れ出る種々のイメージを体験するために、夢分析、描画、箱庭などを用います。

こころの悩みについて、深層心理学としては次のように考えます。
こころの悩みは、無意識と意識のアンバランスな関係によって生じてくる。そのため、無意識と意識のこころ全体のバランスを取ることで、悩みが軽くなる。

いいかえると、こころの症状は、アンバランスが起きていることのサインだと考えます。そのため下手に症状を解消すと、アンバランスだけが残ってしまうことになる。
そのため深層心理学は、無意識から現れ出るイメージを扱って、こころのアンバランスを整えていきます。結果としてこころの症状が治まる、という考えです。

そのため深層心理学では、認知行動療法のような症状の消失を目標とするよりも、人格全体の変容を目指します。
意識が無意識との交流を深めていくほどに、こころは変容していきます。認知行動療法を受けて「なにか足りないかもしれない」と感じた方は、こころの深層での変容が必要だったのかもしれません。
症状が治まっても、さらに自分のこころの奥底で「まだまだ解決していない何かがある」と感じ取っている可能性があります。
そのような場合は、深層心理学を専門としたカウンセラーを探してみてください。

 

自分に合ったカウンセリングを探す

今回説明した深層心理学も、カウンセリング・心理療法のひとつです。このアプローチが合うかどうかは、実際に受けてみないと分かりません。
それが著名なカウンセラーだったり、評判の良い場所だったりしても、自己判断で辞めてもかまいません。自分が長くカウンセリングを受けることになるので、自分の印象で「続けられそう」な場所で続けたらいいと思います。

ただしそのとき「この方法論に惹かれる」ものを試してみる方が早く見つかるでしょう。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました