Q.70.心理検査にはどのような種類があるのですか? 

よくある質問・カウンセリングの疑問

最近は心理検査(心理テスト)を受ける方が増えてきておりますので、これまでに質問に遭った内容もふまえつつ、もう一度、心理検査についてまとめたいと思います。

 

 

専門家の心理検査とは?

インターネットで「心理テスト」と調べると、いろいろなサイトが出てきます。特に最近人気なのは「自分が発達障害かどうかわかる」というようなサイトです。質問にいくつか答えていくと「あなたは発達障害である可能性が高い」という結果が出たりします。

このような心理テストを利用されている方は増えています。
私のカウンセリングオフィスに「発達障害かどうか調べたい」と来談される方のほとんどは、事前にそういったサイトで一度は調べたことがあるとおっしゃいます。

しかし専門家として気になるのは「果たして、そのサイトで示された結果は正しいのですか?」ということです。サイトで「発達障害の疑い」と結果が出たとしても、そこにどの程度科学的な裏付けがあるのか不明です。

ではプロのカウンセラーが使う心理検査はどうでしょうか。

プロが使う心理検査は信頼性と妥当性が確保されています。
簡単に言うと信頼性とは「検査結果が正確か」です。妥当性とは「測定しようとしていることが測定できているか」つまり検査内容が的外れになっていないかということです。

プロの使う心理検査は「測定しようとする内容が測定できていて、しかもその結果がある程度保証されている」です。

ただし、検査結果の解釈には専門知識や経験的判断が必要です。検査結果の数値は同じであっても、解釈はカウンセラーによって異なる場合があります。
(※だれが実施するかによって検査結果に影響がでる心理検査(とくに投影法の検査)もあります)

 

心理検査にどのような種類があるでしょうか?

この点については再度まとめたいと思います(以前とは違う部分もあります)。心理検査は大きく分けて4種類あると私は考えています。

・スクリーニング検査

・発達・知能検査

・人格・性格検査

・神経心理学検査

 

1)スクリーニング検査とは

特定のこころの状態を調べるための心理検査です。うつ状態、発達障害、認知症など、ある症状がどの程度みられるかについて点数化できます。ほかの心理検査と比較的短時間で受けることが多いです(検査によっては時間がかかものもあります)。

 

2)発達・知能検査

一般平均と比較して発達や知能の水準がどの程度であるかを調べることができます。知能水準はIQとして数値で表されます。いわゆる「精神年齢」といわれる、精神発達の水準を調べるのもこの検査です。
精神発達や知能の水準について高低をみるだけではなく、特徴があるかを調べて、得意な事、苦手なことが明らかになります。その特徴をもとにして、こころの課題を解決する方策を立てるために役立ちます。代表的な知能検査にウェクスラー式知能検査(WISC,WAISなど)があります。

 

3)人格・性格検査

こころの傾向、性格傾向などをみることができます。質問紙(MMPI、TEG、SCT:PFスタディ)、描画(バウムテスト、人物画)、そのほかの投影法(ロールシャッハテスト)も含まれます。検査によっては精神病が疑われる状態かどうかを見ることもできます。

 

4)神経心理学検査

心理学的な内容に関する脳機能の状態について調べる検査です。記憶、問題解決能力など、特定の脳機能の働きを調べる検査です。対象者としては、脳に何らかの障害を負っている人、または高齢者などです。認知症のスクリーニング検査のあとに、詳細に状態を調べるときにも使われます。

 

 

どうして検査をいくつも受けないといけないのですか?

こころの悩みは、いろいろな要因が重なって起きてきていることがほとんどです。

そのため複数の心理検査の結果と、成育歴などの情報を聴取して、総合的にこころの状態を判断します。

「発達障害かどうかを確かめる」ときであっても、複数の検査を受けて頂いて判断します。それは発達障害だけでなくほかの可能性も考えて検査をするためです。

※発達障害の確定診断は医師の仕事ですが、医師が判断するための検査結果を提供します。

とくに最近は発達障害という用語が流行しているため、「自分が発達障害かもしれない」と悩んでおられる方が多く検査を受けに来られます。
しかし発達障害以外の要因で「発達障害のような状態」を示すことがあります。発達障害以外の可能性をみるためにも、心理検査をいくつか受けて頂くことと、成育歴などどのような悩みを抱えてこられたかを確認します。

大切なのは、どこが悪いかという短所を探すことではなく、「その人の可能性を見つける」ために心理検査を行うということです。

 

 

心理検査を受けた人

心理検査を受けた方から「こんなことまでわかるのですか」という感想や、これまで仕事や家庭、友人関係で上手くいかなかったことの要因がわかったとおっしゃる方もおられます。

自分のこころがどのような状態で、どのような傾向を持っているか、それを知ることができたときに、ようやく対策が見つかってくるのです。

カウンセラーの立場としては、カウンセリングを受けるよりも心理検査を受けて「自分のこころの状態を知る」ことが大切な場合もあると思います。

カウンセリングは支援方法のひとつにすぎません。しかし心理検査は、いろいろな支援へと繋がるための基本的な情報です。心理検査を受けることで「どのような対策が自分に必要なのか」がみえてくるのです。

 

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