Q59. 独身なのですが今後一人で老後を過ごさないといけないと考えると不安になります。【老後の人生】

よくある質問・カウンセリングの疑問

独身のまま老後を過ごす方は今後増えると予想します。2015(平成27)年の政府の統計データでは50代の男性23.4%、女性14.1%が未婚とされます。この未婚率は今後、高まると予想されています。
独身でいることが老後生活の不安定に直接つながるわけではないのですが、不安を抱いている方もおられるでしょう。

高齢者の方と関わってきた経験から言いますと、生活費などの経済面、身体の健康面、身近に家族や友人などの対人関係は大切です。ただしそれらが揃っているだけで安定した生活が送れるとは限りません。カウンセラーとしては、それと同じくこころの側面も大切だと思います。

こころに関する要因は数多くあります。私はそのなかでも二つの要因を取り上げたいと思います。この二つの要因を備えている人は、落ち着いた生活を送っている印象があります。その二つとは以下の通りです。

  • 自分の趣味(好きなこと、夢中になれること)がある。
  • 他人に甘えることができる。

趣味は生活習慣ともいえます。他人に甘えるのは性格といえます。生活と性格の二つが揃っている人は、老後も満足した毎日を過ごしている印象があります。

就業中は1日のなかで仕事に費やす時間が長いです。準備や移動時間を含めると、1日のうち3分の1以上、仕事に関連する時間を過ごしています。

しかし退職すると1日のうち3分の1の時間が空きます。老後に空いた時間をどのように過ごすのかについて準備しないまま退職を迎える人がいます。

退職後、家ですることがなくて困っている高齢者の方も多いです。急に大きな空き時間できると、仕事以外に活動することがなかった人は困ります。場合によっては家に引きこもり、テレビの前で1日が過ぎるのを待つという生活になる人もいます。

あまり頭も使わず、身体も動かさない。そのような生活を続けていると、当然ながら心身の機能が低下していきます。機能が低下したときには介護を受けるという選択肢もありますが、出来る限り介護は受けたくないというのが高齢者の本音でしょう。有意義な時間を過ごすように心がけることで、自分の力で生活するための機能維持をすることにもつながります。

1日の3分の1という長時間をどうやってすごすか。準備を始めるのは、早い方が良いと私は思います。退職前に「退職したら趣味をしながら過ごしたい」と思っている方もおられます。しかし実際に退職してから趣味を始めても、途中で飽きてしまったり、期待以上に夢中になれなかったり、時間が余ってしまったりと、趣味活動が続かないケースもあります。

とくに高齢になってから新しいことを始めるのは、気持ちとしても負担になります。「退職後に新しい趣味を始める」ことは、私はあまりおススメしまません。

推奨したいのは「働いているときから趣味を始める」です。退職前に習慣化できていた行動は、退職後も継続しやすいです。趣味も同じです。退職前から続けていた趣味であれば時間配分や、どれぐらいの労力がかかるかもわかっています。そのため長い空き時間ができても、自分のペースで調整することができるのです。

夢中になれることがある人ほど、老後も活動的に過ごしているという印象があります。そういった人ほど退職前から好奇心旺盛で、いろいろな趣味に挑戦してきたという経験が豊富です。「老後に始める」よりも「老いを感じたときから、すぐに始める」趣味が大切だと思います。

甘えることは、老後を豊かにする。

高齢になると一人ではできないことが増えます。自分で何でもしようとするほど、かえって上手くいかず、周りに迷惑をかけることもあります。場合によっては介護を受ける必要性が出てきます。

医療や介護の現場をみると、支援者も当然人間ですので利用者さんに好き嫌いの感情を持つことがあります。平等に介護することが理想ですが、当然人間なので好き嫌いの感情が対応の差に出てきます。面倒をよくみてもらえる人や、強く当たられる人もいます。

面倒をよくみてもらえる人の特徴を観察すると次のようなことがみえてきます。

「できることは自分でする」「できないで本当に困ったときは素直に甘えて相手に助けてもらう」そして「感謝をする」という人は介護している人からの印象が良いようです。

言い換えると「年をとっても周りに支えられながら、自分らしく生きる人」。このような人は老後、心身の機能が低下して介護が必要な生活になってきても、充実した生活を送っている印象があります。自分ができることでも他人任せにするとか、他人の助けは全て拒否するとか、不平不満が多い人などは、周囲の人に嫌がられます。そういった人ほど、老後の生活について「つまらなくてしんどい」と訴えるようです。

「自主性を保ちつつ他人に甘える」ことは老後、身に着けるのは難しいです。これも先ほどの趣味を身に着けておくのと同じく、ある程度若いときから準備をしておく必要があると思います。

独身であっても身に着けられる老後の準備

「趣味」「人に甘える」ことは、結婚しているかどうかに関係なく身に着けることができます。そして身に着けておくことで、老後の生活を豊かにする要因になると私は思います。
将来のことを考えながら、長期的にこころの側面についても準備しておくことが、老後の生活を安定させることにつながると私は思います。

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