カウンセリングや心理検査を受けるときに「これ知っています。私は心理学を学んだことがあるので」とおっしゃる相談者の方がときどきおられます。
このような「心理学を知っている相談者」について、カウンセラーはどう思うのかを説明したいと思います。
正直なところ、それを嫌がるカウンセラーもいます。
というのも、相談者の話を聴いていると、「それは共感的な態度で聴いているのですか」といわれたり、心理学用語を使って「私のこの感情は転移なんですか」「これは私の認知のゆがみだと思います」など、カウンセラーがいうことを先取りして話す場合があるからです。
心理検査の場合、「この検査を勉強したことがあるので、結果がどうみられるかわかります」と自信ありそうに仰る方もあります。そういった相談者の態度を困ったと思うカウンセラーもいると思います。
私個人としては勉強をしてもらっても全くかまわないと思っています。勉強をすることで、自分のこころについてよくわかることができて、それが悩みの解決に役立つ場合もあるからです。
知識を持っている相談者とともに知識を使ってどのように悩みを解決していこうか、という協力関係ができると理想だと思います。
ただし心理学といっても、かなり多くの種類がありますので、心理学について知っていますと仰る場合には「どのような勉強をしましたか」「どのような内容を知っていますか?」と確認をとるようにしています。
ただし注意点がひとつあります。なぜか心理学を少し学ぶと「私は何かがわかった」「他の人が知らないようなことを知っている」という気持ちになる人が多いようです。
そして「あなたのこころはこうでしょう」とか、「心理学的には、こういう風にいえるんだよ」と言いたくなるようです。
きめつけて考えてしまうほどに、実態が見えなくなるということはよくあります。とくに決めつけて「あなたはこういう性格でしょ。だからこうしたらいいよ」といわれると、気分を害する人も多いので、知識を必要以上に使うことはあまりお勧めできません。
カウンセラーとしての経験上、専門的に心理学を学べば学ぶほど、分からないことがたくさんあるということがわかってきます。
そのため「人のこころが読める」ことは無いなと思うようになってきます。むしろ「何かわかった気がする」と思ったときほど「これはちょっと何かが見えなくなっているかも」と自戒します。
心理学の勉強をするほどみえてくるのは「人のこころはなかなか理解が難しい、複雑なものだな」ということです。「複雑だからこそ、一緒に考えていきましょう」という知識が共有できればと思います。
Mitoce 新大阪カウンセリング・心理検査
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