Q.89 仕事が続きません。失敗ばかり繰り返してしまいます。どうしたら良いですか。

よくある質問・カウンセリングの疑問

プロのカウンセラーが良くある質問についてお答えします。

「また仕事が続かなかった…」このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
「何度も転職を繰り返して、自信がない」「働くこと自体が嫌になってきた」という気持ちになっている方もおられるでしょう。

仕事が続かない理由はそれぞれありますが、大きく分けると2つの要因が考えられます。まずはその要因から考えてみます。

仕事が続かない2つの要因

次のような2つの要因を検討します。

外的要因
職場環境や人間関係など、自分ではコントロールしにくいもの
例:上司や同僚との相性が良くない、職場の雰囲気が悪い、仕事の内容が自分に合っていないなど。

内的要因
自分のスキルやコミュニケーション能力など、自分自身に起因するもの
例:スキルが不足している、コミュニケーションが苦手、自信が持てずにストレスを感じやすいなど

これらの要因が重なることで、「仕事を続けられない」という状況が生まれてしまいます。
そして、仕事を続けられない状態が続くと、以下のような悪循環に陥ってしまう可能性があります。

・自信を失ってしまう
・転職そのものがストレスになる
・キャリアに傷がつく
・信頼を得にくくなる

こういった悪循環を繰り返しているために、自分は失敗ばかりしているという気持ちになることがあります。では悪循環から抜け出すためには、どうすればいいのでしょうか?

「続かない」という共通点?

2つの要因をみましたが、これらはどうすれば変えられるのでしょうか。そう考えてみても、なかなか簡単に行かないことがみえてきます。

まず外的要因を変えることはできるでしょうか。たとえば良い職場に出会うかどうかは運も左右するため、自分で完全にコントロールできるものではありません。そのうえ会社や他人に働きかけても、簡単に変化しないという現実に直面することは少なくありません。

では、内的要因はどうでしょうか?スキルをすぐに向上させたり、コミュニケーション力を一朝一夕で改善するのは簡単ではありません。自分の能力や気持ちなども、変化させるのは時間も労力もかかるのです。

残念なのですが、こういった「とりあえず目についた要因を改善する試み」は失敗に終わることが多いでしょう。

しかし「仕事が続かない」という現象自体には共通する要因があります。その点に着目すれば、解決の糸口が見えてくる可能性があります。

「続かない」背景にあるもの

問題点が上手く解決しないときには、さらに問題を別の角度から検討することが役立ちます。この場合ですと、2つの要因の共通点を探して、課題となる状態の全体を見渡します。

2つの要因にある共通点。たとえば「要求水準が高すぎること」が背景のひとつとしてあります。
要求水準が高いとは次のようなことです。

・ 「もっと自分はできるはず」「仕事はこうすべきだ」と自分に過度な期待をする
・ 「上司はこうあるべき」「職場はこうでなければならない」と理想を求めすぎる
・ 現実と理想のギャップに失望し、「失敗感」を味わう

このように、現実よりも高い理想を追求してしまうと、どうしても失敗や失望を感じやすくなります。

周囲にも自分にも「こうあるべきだ」という高い要求水準を持っている人ほど、気持ちへの負担が高まります。これらが積み重なることで仕事が嫌になり、続けるのが難しくなってしまうのです。

要求水準は下げられる?

どのように対応すればいいのでしょうか。思い切って「要求水準を下げる」ことを試すという方法もあります。

何事にも完璧を求めないということが、まずは始まりです。「無理をしない」「できる範囲でOK」とする。少しでもできたら自分を褒める。
こういった要求水準を下げて、完璧を目指さないようにすることで、「達成できた」という成功体験を積み重ねることができます。

自信がない人ほど達成感や成功体験が少ないという傾向があります。そういった人であっても、自分の要求水準を下げて、「これぐらいでもいいのだ」「自分でもできた」という体験をすることで成功体験を得ることができます。もちろん高い課題を解決したときほどの大きな成功体験を得られないかもしれませんが、小さな成功体験でも、成功といえるのです。

また要求水準を下げることは失敗ではありません。自分がクリアできるほどの課題設定ができたという成功体験でもあります。
高すぎる課題設定は、達成が出来ないことが多い。つまり失敗体験を生むマイナスの意味を持った課題設定なのです。ですので、自分を高めて次につなげるという視点からみると、要求水準を下げることは悪ではないのです。

課題をクリアできるようになると、自分でもできるという自己効力感を持つことにつながり、前向きに継続する力が育っていきます。それが自信につながるのです。

仕事が続かないと悩む人のなかには「課題設定が高すぎる」という傾向を持つ人が少なくありません。「理想を求めすぎていないか?」と自己評価の基準を見直してみてはいかがでしょうか。
無理なく続けられる環境を作るために、

・自分の要求水準を下げる
・小さな成功を積み重ねる
・「続けること」を目標にする

この3つを意識してみてください。

もちろん要求水準を下げても、成長するような結果が出るまでには時間がかかります。とにかく、あせらず一歩ずつ前進することが大切です。仕事で言えば、少しずつ前に進んでいけば、いつのまにか続いているという状況が訪れるでしょう。その状態をまずは目指す。
無理しすぎずに働く。これが仕事を長続きさせるためのひとつのコツです。

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