親の介護について悩んでおられる方は多いです。
「仕事を続けながら介護はできるだろうか。仕事を辞めないといけないのか」
「介護にどれぐらいお金がかかるのだろうか」
「どのような施設があるのだろうか」
介護をめぐる現実的な対処法が問題になることもよくあります。
このような現実的な悩みについては、ソーシャルワーカーやケアマネージャーに相談することがほとんどだと思います。しかしカウンセラーの立場からは、このような親の介護について問題が出てきたとき、その背景に、こころのテーマがあると考えます。
たとえば「それまで親子関係が悪かった人」「ほかの家族から介護を押し付けられた」という事情を抱えている場合です。そのような場合、正直な気持ちとして「親の介護はしたくない」「家族とかかわりたくない」という思いが出てくることもあると思います。そのようなときは、現実の問題を解決していく前に「なぜ私がこのようなことをしなければならないのか」とストレスを強く感じるでしょう。
強いストレスを感じながら、介護のための手続きをしたり、お金の準備をしたりすることは、こころにとって大きな負担になります。そのうえ周囲の人からは「家族が介護の手続きをするのは当然である」のように扱われるので、自分の素直な気持ちを出せないこともあります。介護をするなかで孤独感を抱いたり、追い詰められた気分になるのです。
このような介護にまつわるマイナスの気持ちは、ひとりで抱えるのは大変です。そのうえ「相手にやさしい気持ちをもって介護するように求められる」と、なかなか本心を話すことができません。マイナスの気持ちをだれかに相談するのは難しいのです。
カウンセリングに来られる方は、安心して介護に関する辛さや悩みを語ることができます。当然ながら、カウンセラーもそういったマイナスの気持ちを批判することはありません。むしろ介護をするなかで出てくる自然な思いとして尊重します。
親の介護で悩んでいるというとき、現実の問題だけではなく、介護する側の気持ちをサポートすることも大切だとカウンセラーとしては思います。
こういった介護について悩むときや、気持ちの負担が高まっているときには、だれかに相談することが大切です。こころの専門家は、こういった「ほかの人には言い難い本心」をよく知っているので、相談して頂ければと思います。
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