対人援助職の方が、カウンセリングルームに相談に来ることはあります。その場合、まず確認するのは、コンサルテーションとして相談に来るのか、個人の悩みとして相談に来るのかです。この二つは状況を詳しく聞くと、どちらも重なっていることはあるのですが、とりあえずは分けて考えた方が取り組みやすいので、区別します。
コンサルテーションの場合について。
対人援助職の方が働いている現場のコンサルテーションをお願いしますというのであれば、まずはどのような状況化を確認します。医療現場にいる患者さんへの対応や、教育現場での子どもや、福祉領域では利用者さんにどのように接すればいいのかという悩みが多いです。
カウンセラーとしてできることは、対象となる人(患者さんなど)へのカウンセリングだけではありません。カウンセラーの仕事として「心理アセスメント」があります。心理的な面から、その人がどのようなこころの状態であるのか、知的能力はどうか、または発達障害などがあれば、どのように対応すればいいのかを話し合うことができます。
心理的なアセスメントを知ることで「どのように対応すればよいのかわかった」とおっしゃって頂くこともあります。心理的にどのようにアプローチをしてよいのかがわからずに、「とりあえず探り探りしている」ということもあるようなので、心理的に見て「この方針はどうでしょうか」と提案することで、方向性がまとまることがあるようです。
とくにチームで取り組もうとしているときに、こういった「しっかりとしたアセスメント」を元すると、方向性も定まり結果につながりやすいようです。
援助職へのカウンセリング。
もう一つの相談として、援助職の方が来られるカウンセリングについて考えます。
実際にはカウンセリングを受けに来る援助職の人はすごく多いです。
対人援助職はいわゆる感情労働といわれ、こころを使って働く仕事とされます。相手の気持ちに寄り添うことや、相手の感情の状態を敏感に察知しなければならないので、感情を読み取るセンサーを酷使しているといえます。自分自身の感情も揺れるので、喜びだけでなく、怒りや悲しみを強く感じることもあります。そのような仕事なので、熱心に働くほどに、こころに疲労を抱えるというような状態になるのです。
また全員ではないのですが、職業として援助職を選ぶ人のなかに、いわゆる人生の中での生きにくさや、こころの悩みを抱えている方がいます。
自分がこころの悩みを抱えてきたからこそ、相手のこころの痛みに敏感になる。そのために相手を「ケアする人になりたい」と対人援助職を選ぶのです。
そのような方が、感情を使う仕事に就くと、相手の感情をくみ取ろうとする姿勢が強いので、優秀な職業人として働ける場合があります。しかし、相手と関わるなかで自分のこころの中にある、過去の経験や葛藤が蘇ってきて、感情が大きく揺らされることもあるのです。そういったときには「自分の使命として仕事を頑張りたいと思うけれども、どうしても感情が揺れてしまって働けない」という状態になることもあります。
または感情の揺れは経験していなくても、「私はこの仕事を絶対にやめてはいけない」などと無理を重ねてしまうということが起きてきます。それが心理的な症状として現れてきて、カウンセリングを受けるようになることがあります。
このような場合、仕事の対する思いであったり、これまでの生きにくさに焦点を当ててカウンセリングすることになります。カウンセリングを続けることで、自分の生き方がみえてきて症状が軽くなる人もいますし、別の職業を選ぶ人生へと向かっていくこともあります。
とくに対人援助職は、職場では「お互いに専門家」であり、とくにこころを扱う職業だと「互いにこころを扱う職業」であるために、かえって素直な気持ちをそのまま相談できなかったりします。
そのため、職場以外でカウンセリングのような、ある程度の自由があり安全に話せる場所があると、相談者にとっては安心できるのです。そういった目的で、カウンセリングを受けに来られる方もいます。
Mitoce 新大阪カウンセリング・心理検査
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