心理テストとは、こころの傾向を測る検査です(ここで話すのは、いわゆるプロのカウンセラーが使う心理テスト・心理検査です)。こころの傾向といっても幅広い種類があるので、「心理検査を受ければこれがわかる」と説明するのは難しいです。
大まかにわけると性格・人格検査、知能検査、神経心理学検査などがあります。それを順に説明したいと思います(今回は説明が中心です)。
性格・人格検査とは
性格・人格検査はその人の性格傾向をみます。たとえば、怒りっぽい、不安が高い、マイペースや気分が揺れやすいなどの特徴をみることができます。一般的に「私の性格ってどのような性格ですか?」と聞かれたときに、想像するのがこの性格検査の結果だと思います。
ほかにも人格検査として、性格の背景にあるこころの働き方のパターンも見ることができます。人格構造といったりします。それは精神病的なパターンであったり、不安がどのように起こってくるのかというパターンを見ることができたりします。
これは性格とは異なって、時間がたってもなかなか変化しないものです(ちにみに性格検査は、種類によっては数か月で結果が変わります)。いつも同じような悩み事に出会う、それが幼いころから続いているという場合は、この人格検査で考え方のパターンがわかったりします。
それに類するもので、様々な尺度を使った検査もあります。うつ傾向であったり、発達障害の傾向であったり、そういったある特定の症状や状態像を明らかにする検査もあります。このあたりも精神科領域では比較的よく使われます。
知能検査
次は知能検査です。いわゆるIQや知能水準を測定する検査です。ただしこの検査はIQの値が高いか低いか、そういったことだけを調べるのが目的ではありません。どのようなことが知的能力として得意で、どういったことが苦手なのかを見ます。
たとえばある子どもは、人と話をするのは苦手なのだけれども、実際に絵や図を描いて理解することは得意。それが検査を通じて明らかになったりします。
結果をもとにして関わり方を変えると、子どもの様子が変わったりします。それまで話しかけてもあまり返事をしなかった子どもが、絵を使って説明するといわゆる適応的な行動をするようになった。そのようなサポートにつながったりします。
知能の特徴を見ることで、検査を受けた人が生活しやすくなるにはどうするかを考えることにつながります。検査はあくまで受けた本人に還元しなければなりません。
神経心理学的検査
もうひとつが神経心理学的検査です。この検査では脳の心理学的機能がきちんと働いているかどうかを見ます。
たとえば認知症や脳に何らかの原因で障害を負った人に実施します。脳に障害がある場合、ある能力は以前と同じようにすることができても、障害のある部分の機能だけ上手く働かない、そのような事態が生じることがあります。
どの機能が障害を受けているかを知ることで、その方の状態像を理解できて、適切な対応ができるようになります。
たとえば高齢者に良くあることですが、新しいことを覚えるのが苦手な人に、新しいことを教えても負担をかけるだけかもしれません。一方で、昔のことはよく覚えているという検査結果がでれば、話かけるときに「昔はどうでしたか」というと「こんな仕事をしていてね」と答えてくださったりします。
まとめ
このように心理検査は、こころの機能について何を知りたいのかによって、実施する心理検査を選びます。そのため心理検査を受けたいという希望がある方は、心理検査によって何を知りたいのか、その理由まできちんとカウンセラーに説明することが必要です。
ただし検査を実施したからといって、その人が何を考えているのか、こころの中まで読むことはできません。
心理検査を受けると、こころの中身がばれてしまうのではという不安を口にする方もおられますが、実際にはこころの内容の全てがわかるような検査はありません。
あくまで心理検査の結果は悩みへの対処法を考える上での手掛かりです。ですので心理検査を受けたからそれで満足するのではなく、結果についてカウンセラーとしっかりと話し合うことが大切です。
Mitoce 新大阪カウンセリング・心理検査
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