カウンセリングを受けようか迷っている人に向けて。第1回 

インタビュー

カウンセリングの部屋を紹介

――今日はMi先生に、カウンセリングを受けたことがない方に、カウンセリングについてお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

Mi:よろしくお願いします。

――まずMi先生について紹介させていただきます。Mi先生のプロフィールを確認させていただきますと、元々は精神科病院で臨床心理士として働いておられたのが、そこを退職されてカウンセリングオフィスを開業されました。専門は精神障害の心理的支援と深層心理学。論文や学界でも研究を発表されています。後進の教育にも携わり、大学での講師やスーパーヴィジョンも行っていると伺っております。こうして経歴を見させて頂くと、現場での実践と研究をなさっている、すごい方に今日はお話を伺えるなと思って、楽しみにしております。

Mi:いえいえ、すごくも何ともないです。私がカウンセラーとして知っている範囲でなんとかお答えできればと思います。よろしくお願いします。

――では、さっそく伺いたいのですが、いつもこの部屋でカウンセリングをなさっているのでしょうか? すっきりとして良い感じの部屋ですね。何か思いがあって、このような部屋にされたのですか。

Mi:そうですね、ここは普段、カウンセリングをしている部屋です。シンプルだけれども居心地の良い部屋を私なりに考えて作りました。
私の場合ですが、あまり装飾品がゴチャゴチャあるのは苦手でして。モノが置いていると持ち主のメッセージ性が伝わってくるので、自分が作るときはシンプルにしようと思っていたのが理由です。
これはクライエントも同じかと思いまして。部屋に置いてあるのを見て「あ、先生、こんな本読んでいるんだ」「こんな趣味があるんだ」とか考え始めると、気が散ってしまいます。自分の悩み事よりも、カウンセラーがどのような人かばかり考えてしまったりするかもしれない。そういうのを避けるという理由もありますね。

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カウンセリングを受けるのはどんな人?

――なるほど。そこまで考えておられるんですね。カウンセラ―の方が色々と考えておられれるのが伝わってきます。
今のお聞かせいただいた話は、今日、伺いたかった内容と重なります。まずお聞きしたかったのは、カウンセリングに来られるのはどのような方が多いのかということです。もちろん、お悩みの内容までは話して頂かなくて結構ですので。

Mi:最近はいわゆるうつや適応障害、あとは自分が発達障害ではないかと悩んでおられる方が来られることが多いですね。

――うつや発達障害は、最近はよく耳にしますね。なんというか、職場で人づきあいが上手くいかなくて悩んでいるという。

Mi:はい、そうですね。大人の方を対象としているので、仕事や家族など人間関係に関する訴えで来談されることが多いです。

――では、もし来られた場合にはどのように対応をなさるのでしょうか。

Mi:相談に来られた方には、まず経緯を聞かせていただきます。どういった悩みで来られたのか、いつからその悩みを抱えておられるのかなどを詳細に伺います。

――どれぐらいの時間がかかるのですか?

Mi:基本的にはカウンセリングは1回50分です。これは初めて来た場合も、そのあと続けてきた場合も同じです。

――結構、時間をかけるのですね。

Mi:そうですね、とくに初回はいろいろなことを確認するので、最低でも50分は必要です。

カウンセリングを受けるかどうかを決める人

――では、悩みの内容を確認された後、どうされるのですか?

Mi:初回では話を聞いたあと、こちらの方針を説明することが多いです。伺った悩みについて、カウンセリングをしながら、これからどするか考えていきましょう、とか。あとは心理検査を受けてはどうでしょうかなど。ほかには医療の受診を進めることもあります。場合によっては、話をうかがっていて、現状ではカウンセリングがそれほど必要ではないのでは?というときもありますね。

――1回で終わることもあるのですか?

Mi:もちろんあります。カウンセリングは必要な人が受けるものだと思っています。お金も時間もかかるので、必要なければわざわざ続けることもない。

――そういうものなんですね。カウンセリングに行くと絶対に続けないといけないとか、カウンセラーから続けるように強く言われるだろうと思っていたのですが。続けるかどうかはクライエントが決めるんですね。

Mi:はい。あくまでカウンセリングは本人の意思で来るものなので。もちろんカウンセラーとして提案はします。○○さんのお話を伺っていると、カウンセリングを続けると良くなる可能性があると思うけれども、続けるかどうかはご自身なので、と。

――自分で決めるのが難しいと仰った場合は?

Mi:「決められないようでしたら、まず試しに数回来ていただいて、そのあと決めて頂いても良いです」と言うこともあります。そこで次回の予約をしてもらいます。予約をしたけれどもキャンセルされる方や、予約をして何回か来てから確認すると「続けます」と仰る方もおられます。最終的には本人が決めるのは同じですね。

――カウンセリングって、そういうものなんですね。それも知りませんでした。

Mi:そうですね、仕事としては特殊かもしれませんね。こちらとしては来ても来なくても良いので、最終的には自分で判断してくださいという立場です。もちろん「カウンセリング来ないと悪化するよ!」みたいに脅すことはありません。あくまでカウンセリングは、その人が自分の悩みを乗り越えていくときに使う手立ての一つだと私は思います。カウンセリングでないと絶対に解決できない悩み、というものはあり得ないと思います。
ですので、ご自身が選ぶのであればご利用ください。その代わり、カウンセリングを選ばれたのなら、専門家としてしっかりと担当させていただくという立場です。

――確かにほかではあまり伺ったことがないかもしれません。

Mi:はい。利点としては、悩みに付け込んで商品を買わせるとか、カウンセリングを続けるように強いることもないので。私としては、もっと気軽にカウンセリングに来談いただけたらと思っています。

――正直に言わせていただいて申し訳ないのですが、カウンセリングを受けるとなると、一般には敷居が高いかと思います。今日はせっかく、お話を聞かせていただきますので、カウンセリングの実際について、もう少し伺ってもよろしいでしょうか。

Mi:ぜひ、よろしくお願いします。私もいろんな人にカウンセリングを知って頂きたいと思っていますので。

――私も、いろいろ突っ込んで聞かせていただきたこうかと思いますので、よろしくお願いします。

(第2回に続く)

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