うつや適応障害で休職したあと、復帰をしても再び休職を繰り返す方は少なくないです。
休職を繰り返すうちに自信を無くし、会社から信頼されなくなり、結果として退職することになる、というケースもあります。
私はそのような方々の相談を受けてきたなかで、気づいたことがあります。それは、
「復帰するのが早すぎる」
いいかえると、回復していないのに、気持ちのあせりから早すぎる復帰をする人が多いことです。
こころの不調は休息が大切
うつや適応障害の場合、しっかりと休息をとると状態が回復する可能性があります。とくに初めてこころの不調が出たときには、回復しやすいと思います。もちろん、例外はありますが。
休職をしたあとの様子を見ていると、多くの方が「早く復帰すること」を目指します。そして実際に、状態が少し安定すると職場に復帰されます。しかし、しばらくすると再び不調に陥って、休職。
そのようなパターンを繰り返す人がおられます。
回復していないのに職場復帰するのは、足を骨折して松葉づえをつきながら、運動会で走るような状態です。痛みを我慢したら走れる!という人もいるかもしれませんが、それでは足に大きな負担をかけます。もちろん、全速力では走れませんし、後遺症が残る可能性があります。
こころの不調で休んだあとに、不眠やあせりの気分が残っているのに復職するのは、これと似ています。骨折している(こころの不調が残っている)のに、運動会で走る(職場で一所懸命働く)。当然、良い成績は出ないですし、むしろ体調が悪化します。
私はこころの不調で休んだあと職場復帰する方の話をときは、
「よく眠れている」
「気分の波が減っている」
「感情や感覚が以前のように戻っている」
ことを確認します。
これらが回復していない場合は、復帰に慎重になります。どうしても復帰したい人は、復帰したとしても仕事量を減らすか、パフォーマンスを下げるなど負担を少なくなるように提案します。
大敵は「気分のあせりと不眠」
こころの不調は「あせりと不眠」の二つに現れることが多いです。とにかく「あせり」と「不眠」を少なくすることが大切です。休息をしっかりとると、自然とこの二つは回復してきます。
逆にあせりと不眠が減ってくると、「こころのゆとり」が出てきます。ゆとりの回復が、復帰を検討するタイミングです。私は急いで職場に復帰するよりも休職を続けて、しっかりと回復させる方が再発防止になると考えています。
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