プロのカウンセラーが良くある質問についてお答えします。
生きがいって何だろう?
生きがいについて悩んでおられる方はかなりおられるのではないでしょうか。
カウンセリングでもこのような悩みの相談をしばしば受けます。
たしかに「生きがいとは何か?」とは解決が難しい内容の悩みだと思います。自分で考えても、なかなか答えが見つからないでしょう。
そのうえこの悩みは、悩めば悩むほど普段の生活について疑問が出てきたりします。
「こんなことしていて人生を終わっていいのだろうか」
無駄な時間の使い方をしていると思ったりする方もおられます。
「私はいつも同じことを気にしている。でも結局変わっていない」など悩み事が解決しないままに放置されてきたことに気づき、愕然とする方もおられます。
「このまま生きていて、果たして意味があるのだろうか」と。
これが「生きがいに深く悩む人」の悩み事なのです。
「生きる意味について悩む」とは?
「生きる意味について悩む」とはある意味でネガティブな響きを持っています。「自分のこれまでの人生を否定する」ニュアンスが含まれているからです。 これまでの人生では意味を見いだせなかったから悩むという、ニュアンスです。
それは自己否定につながることもあります。
「自分はダメな生き方をしていたのではないだろうか」と。
またはこのようなネガティブな悩みを抱えている自分は、何か問題があるのではと思うこともあります。
他人はこのような悩みを抱えているようにはみえないので、「私一人で悩んでいるのではないか」
「私は病気じゃないのか」つまり「うつなどの病気かもしれない」と悩む方もおられます。
生きる意味について悩む方がカウンセラーなど専門家の相談に訪れるのは、こういった「自分を批判する」ことが始まりにある方も少なくありません。
いきがいに悩む人のエピソード
このような悩みは30代、40代など、ある程度人生経験を重ねてきた方に起こってくることがあります。将来どうなるかが見えてくる年齢です。
これまで悩み事を自分なりに解決して乗り切ってきたのですが、このような「人生の意味」という大きな悩みが出たときに、「解決できないかも」と不安になるのです。
それまでの自分とは違う、何かを身に着けるか手に入れなければ、この悩みを乗り越えられない。そのように思うのです。
生きがいを見つけることはできるのでしょうか。
「何のために私は生きているのだろう」とカウンセリングに相談に来られる方がおられます。話を伺っても、精神的な病気(うつなど)とは少し違う様子です。
気分が落ち込んでいるとか、マイナス思考になっているとか、精神的な不調があるようでもない。どちらかというと健康だし、まわりからも特に問題はなさそうに見える。
にもかかわらず「何のために私は生きているのか?」と悩むのです。
(「何のために働いているんだろう」というのも、同じような種類の悩みです)
意味を見失ってしまった…。
生きがいに悩むときは、「自分が生きる意味を喪失している」状態といえます。
カウンセリングでもそのような状態にある人が、来談することがあります。ではどのようにして、生きがいを見つけるのでしょうか。
この悩み事について考えるとき、私はある精神療法家の言葉を思い出します。
「人間は自分の人生に意味を見つけようとする意思がある」
第二次世界大戦中に強制収容所に収容された経験も持つ、ヴィクトール・フランクルのロゴセラピーの考えです。
彼の理論等には批判もあるのですが、私はカウンセリングのなかで人生に意味を見つけようと悩んでおられる方に役立つ理論だと思います。
人生の意味や生きがいというのは「何かをする」ことで見つかるのではなく、「何かをしている自分自身の体験」の中に意味があるといえます。
つまり新しい活動をすることで見つかるのではなく、普段通りの生活や仕事の中に「これは意味がある」と気づくのです。
これは先ほどの「自分の人生を批判的に見る」のと逆で、「人生を肯定的に見る」ということです。
実施するには簡単ではないと思います。
自分の肯定的な面に気付けるようになるには、「私は何に対して満足感を得ているのか」「何をしたいと思っているのか」「何が好きなのか」など、自分の思いに気付けるようになることが必要です。
自分について深く知ることが出来るようになったとき「たしかにこれは意味がある」と気付けるようになります。
実際のカウンセリングでも、そのようなプロセスをたどります。
まずは具体的な行動によって人生の意味を見つけようとする方もおられます。もちろん、そのような結果として見つける方もおられますが、カウンセリングに来られる方は「いろいろしてみたけれども、見つからなかった」という方が多いです。
その場合は、自分のこれまでの行動や今していることを振り返るなかで、意味を見つけていきます。
意味を見つけるとは、何か大きな発見をして「これが意味だと分かった」というのではなく、「何となく、私はこれを続けていきたいと思う」というような、ささやかな体験です。
生きがいを発見するということが、何か大きな発見をすることだと考えておられる方もおられるのですが、実際には普段通りの細やかな生活の中で、自分なりに「これでいかな」と思えるようになることを見つける体験です。
つまり生きていく中で小さな出来事であっても、それは「自分が生きる中で意味のあることなのだと、肯定的な出来事として理解する。
そういあった体験の積み重ねをしていくなかで「私は生きていて意味があるのだ」と気づくようになります。
ただし一人で見つけるのが難しい方もおられるかもしれません。
そのような方は一度、カウンセラーにご相談ください。人生の生きがいを見つけるためのサポートを致します。
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