カウンセリングに始めて来られた方には、相談に来られた経緯やいつから悩み事を抱えておられるのかを伺います。過去の話を聴くのはカウンセリングに役立てるためです。そこでどのような理由で聞くのかについて、説明させていただきます。
発達障害の場合は過去を確認するのが不可欠
たとえば自分は発達障害かもしれない、と悩んでいる方が来られたとします。発達障害かどうかの鑑別診断は医師が行いますが、診断のための情報集めをカウンセラーが担当することもあります。
発達障害かどうかという相談の場合、まずは幼少期の行動や環境などを確認する必要があります。
発達障害は子どもの頃(とくに幼稚園に入学前後)から、すでに発達障害の傾向が表れます。落ち着きがない、興味関心の幅が狭い、一人遊びが多いなど、いろいろな発達障害特有の状態がみられます。
一方で幼い頃は発達障害のような状態が見られていなかったにもかかわらず、のちにそのような状態が見られた場合、発達障害以外の可能性も考えなくてはなりません。
カウンセラーは幼い頃の様子を聞きながら、現在の悩みがどのような背景によって生まれてきたのかを確かめていきます。
必要であれば心理検査を受けて頂き、具体的に心理状態を確かめることもあります。
これは発達障害に限った対応ではありません。幼い頃の体験が、大人になっても影響を残すことがあります。幼少期というのは、こころの基礎を作る時期なので、その時期にどのような状態であったのかを確かめることで、こころの状態を理解することにつながるのです。
過去を話したくないとき
ただし、過去のことを話したくないという場合は、幼少期のことを話さなくても良いと私は思います。話したくないことは、無理に話す必要はありません。
場合によっては、昔の話をすることで自分のこころの傷に触れることもあります。信頼関係が出来る前にこころの傷に触れると、却って状態を悪化させることもあります。
過去の話をすることがつらいときには、今、どのように過ごせばいいのかを話し合うことを優先することも必要でしょう。
過去に触れるときはあくまで慎重に。
カウンセリングをする上で過去の話に触れなければならないときに、本人と約束をします。
「言いたくないことはいわなくていい」
過去の話は、デリケートな内容が含まれるためです。
どれほど慎重になるかというと、何年もカウンセリングを続けていて「昔、こんなことがあって……」と、それまで語られていなかった過去が語られることがあります。
そういうときでもカウンセラーは相談者にこれ以上聴いて良いのか、話している表情や様子を慎重にうかがいながら原則として「言いたくないことは言わないでいい」ことを守ります。ある程度信頼関係が出来ているときであっても、言いたくないことを言わずいることを守ります。
カウンセリングでは無理に過去の話をする必要はありません。
過去の話をしたくないとき、カウンセラーに「どうして過去の話を聞こうとするのですか」と質問して良いです。
それはカウンセラーとの信頼関係を確かめる大切な質問だと私は思います。
カウンセラーが過去の話をたずねるときには、必ず理由があります。疑問が出てきたときはカウンセラーに聞けることは聞いてみる。カウンセリングを受けるときには大切です。
Mitoce 新大阪カウンセリング・心理検査
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