もしカウンセリングに来られた方が「限界まで頑張る」と話したとき、私は「あまりおすすめはしない」と言うと思います。
なぜならカウンセリングに来る時点で、その方はすでに限界が訪れている可能性が高いからです。それ以上頑張ると負担が増えるだけで、全く生産性がない。それどころかさらに負担が増えて、回復が遠のく可能性があります。
限界までがんばろうという人たちを見ていると、その取り組みを継続できるかどうかを度外視しているなと思うことがあります。「限界まで取り組んで目標が達成できたら良い」、けれどもその先をあまり考えていない印象があります。
オリンピックで金メダルを取るなど、分かりやすい目標であれば良いのかもしれませんが、カウンセラーとしては、どうしてもその人生全体を考えます。一生のあいだ限界に挑戦し続けるのは、かなりしんどいと思います。普通はできません。
限界までがんばるのが正しいと思っている人が、何らかの理由で限界に挑戦できなくなったときも心配です。がんばれない自分はダメだと、自己否定に陥る可能性もあります。
がんばってきた人をカウンセリングをするとき、まずは休むことが目標になります。がんばってきた人ほど、休んで力を蓄えるのが苦手です。限界に挑戦するという短期目標ではなくて、一旦休んで、どうすれば長く続けられるかを考えていきましょうと提案するのですが、「どうしたら休めるのかわからない」とおっしゃいます。
「しんどいときは何もしない」「疲れたら休む」「できないことは後回しにする」がんばってきた人はどれも苦手です。こういった単純な「無理をしない」ことが身に着くまで、何か月もかかる人がいます。それほど「がんばろうとするクセ」は抜けにくいのです。
こういった事情があるため、私は「限界までがんばれ」という意見について、こころの悩みを抱えている人には「あまりおすすめしません」。それよりも「どうしたらがんばらずにいられるか」を考える方が大切だと思います。
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