カウンセラーがカウンセリング中に何を考えているのか気になることがあると思います。
カウンセリング中は、カウンセラーによりますが、表情をあまり変えずにしっかり聞こうとする人もいるので、「一体、どんな気持ちで、何を考えているのだろう」と不思議に思うかもしれません。
しかも、思いもよらない返事が来たり、または黙って聞いていたりと、カウンセラーの反応は予想不可能かもしれません。
そこでカウンセリング中にカウンセラーが何を考えているのか、説明したいと思います。ただし、この内容は私がカウンセリングをしているときの話です。すべてのカウンセラーが同じではないと理解しつつ、読んでいただければと思います。
カウンセラーが考えるひとつのこと
カウンセリング中に考えることは、テーマとしてはそれほどたくさんありません。私の場合は、まとめるとたった一つのことかもしれません。それは「相談者の方が伝えようとしている、一番素直な本心は何か」です。
どういうことかというと、相談者が「私は同僚のAさんが嫌いです」と話していたとします。そこで嫌いな理由を聞くのが普通の会話かと思います。
しかしカウンセラーは、言葉の裏にどのような気持ちが動いているのかを考えています。
そこで相談者にAさんについて、いろいろと話してもらいます。
するとAさんについて「他人の悪口を言うのは嫌いだけれども。悪口以外の部分はまだ我慢できる」という話が出てきたりします。
そのうえ仕事のやり方については、むしろ尊敬している部分があるかもしれない、という話しが出てきたりします。
しかし、言葉では変わらずに「嫌い」といっているのです。
では相談者は、なぜカウンセリングでAさんの話を取り上げて「嫌い」という話をするのだろうか。それは相談者のこころに何かひっかかることがあるのではないだろうか、と考えます。
この「引っ掛かり」を専門用語でコンプレックスといいます。日常語でつかうコンプレックス(劣等感という意味)よりも、もっとこころの機能として独立した用語です。
このコンプレックス(こころのひっかかり)が、相談者の悩みの元であることもあります。そしてコンプレックスが、何らかの症状や悩み事を形作ることさえあります。
「ひっかかり」を解きほぐすと、「本当はこういったことが気になって悩んでいる」ことが分かってきます。
「解きほぐす」作業が、カウンセリングでカウンセラーの仕事のひとつです。そして解きほぐした結果として出てくるのが「本心としての素直な思い」です。
さきほどの話しであれば、相談者にとって大切だった人(それは家族だったりするのですが)とAさんを重ね合わせてみていたことに、カウンセリングで気づくかもしれません。
そしてAさんに対して、自分のあこがれではあったけれども、自分への配慮をしてくれないことへの怒りもあったと話始めたりします。そういったどちらにも揺れる気持ちがあるなかで「嫌い」といったことがわかります。それは「嫌い」であると同時に、「頼りたいという自分の気持ちを分かってもらえない怒り」も含まれているのです。
これは例え話ですが、カウンセリングではこのようなことはしばしばあります。
カウンセリング中、カウンセラーは話しの背景にどのようなことがあるのか、いろいろな可能性を考えています。そのため、一概に「このときにこれを考えている」とは説明をしにくいのですが、まとめてみると「相談者の素直な本心」を考えていると言えます。
Q32-2 相談者はカウンセラーの考えていることが、自分が良くなることとどうつながるのか、疑問に思うのでは?
カウンセリングで気持ちが整理できたとか、悩み事について腑に落ちたというときは、どのようなときでしょうか。
それは端的にいうと「自分の素直な気持ちを、ぴったりくる言葉で表現できたとき」です。
表現できたとき、相談者もカウンセラーも互いに「それはぴったりの言葉だ」と理解できます。そして気持ちが少し楽になる。
でもこれを意図的にするのがとても難しいのです。
普通であれば「これを言葉にしてもいいのかな。悪いのではないか。相手にどう思われるか気になる」という気持ちが自然と出てきます。
普段、自分で覆い隠している素直な気持ちを、自然と表現するのはとても難しい。そして、こころの悩みは「素直な気持ちを出せないときに起こっている」といえるかもしれません。
そして素直に言えたときに、こころの癒しが生まれるのでしょう。
つまり、カウンセラーが相談者の素直な本心を考えていることとは、相談者の状態が良くなることと、そのままつながっていると言えるのです。
Mitoce 新大阪カウンセリング・心理検査
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