カウンセリングを受けようかどうか迷っている方や、カウンセリングに関心を持っている方から、「カウンセリングに向いているのはどのような人ですか?」という質問を受けることがあります。
カウンセリングに向いている人はいるのでしょうか。
カウンセラーとして正直に言いますと、カウンセリングが続きやすいタイプの人、続きにくいタイプの人はいます。 カウンセリングに来られた方には、カウンセリングを続けて頂きたいとは思いますが、それが現実です。
どのような人がカウンセリングが続くのかを説明していきます。
カウンセリングが続く人
カウンセリングが続くのはこの2つが揃っている人です。
・自分のこころを変えようという意欲がある。 ・悩みを解決したいと思っている。
この2つが必要と私は思います。 ある人にとっては「カウンセリングを受けるのだから当然」と思うかもしれません。しかしカウンセリングに来られた方で、この2つが揃っていないことはしばしばあります。
どういうことかというと、「自分の悩みは自分では解決できない。カウンセラーに解決してほしい」 と考えている方です。
このような方は「悩みの相談に来ました」と悩み事を語られます。しかし、どれほど内容を確認し、カウンセラーの意見を伝えたとしても反応は芳しくありません。
これは「悩み事は薬を飲んだら解決しますか」という質問と似ています。私は精神科医療の現場で働いていました。そのため「あくまでお薬は症状を抑えるものであり、こころを変えるものではない」ことを知っています。こころを変えるためには、自分の行動や考え、人間関係、周囲の環境などを振り返る必要があるのです。
しかし、先ほどの「自分では解決できないので、だれかに解決してほしい」という思いが根強くある方は、どれほど簡単に悩みを解決できる方法はないと説明をしても、しっくりと来ないようです。
解決してほしいという思いの根底にあるもの
「解決できない」という思いの根底に、無力感や自信のなさが潜んでいることもあります。そういった無力感や自信のなさに触れるのが怖い、もしくはもう諦めている方もおられます。そういった方は言葉では「解決したい」と思っていても、本音では「解決するのは大変だし、こころの奥底には触れたくない」と変化を避けます。私はこころの奥底に触れるためには、気持ちや状況の準備が必要だと思います。準備がまだできていないときに、急いでカウンセリングを受ける必要はないと私は思います。
その場合、カウンセリング以外の方法を使って、苦しさをとりあえず弱めつつ(服薬もひとつの方法です)、日常生活を送るのも悪くないと思います。
カウンセリングは魔法ではない
注意しておきたいのは、カウンセリングを受けると、まるで魔法のように、こころの悩みが一気に解決するというイメージを持っておられる方です。
一般にはカウンセリングが効果的だ、と誇大的に宣伝されることもあるので、それを信じて来談される方もおられます。
しかしカウンセリングは、こころの悩みについて「どのように対処したらよいかわからない人」を手助けして「自分の悩みを、自分の力で悩んで解決できるようになる」ことを目指します。そのためカウンセリングに来ても、悩み事が一気に解決できるわけではありません。
カウンセラーが悩みを解決するのではなく、本人が解決するための手助けをするという方法です。そのため悩みを解決できるようになるまで時間もかかります。
「カウンセリングを受けて気持ちが楽になった」というのは効果の一つです。ただし気持ちが楽になったとしても、課題が解決したわけではありません。気持ちを楽にして、もう一度課題に向き合えるようにする。それがカウンセリングの実態です。
人が変わるためには時間が必要
このようなカウンセリングの基本的な部分を納得いただける方は、カウンセリングが向いているかもしれません。そのような方は、カウンセリングを続けて「自分でなんとか解決しよう」と意欲も高いです。クライエントが解決できる力を発揮できるよう、カウンセラーも全力でサポートします。それでも解決に至るまで時間はかかりますが、少しずつ変化していくでしょう。
もちろん「こころを振り返るのは苦手だ、あまり話したくない」という方もおられます。そういった方は、カウンセリング以外の方法を試して頂けたらと思います。 カウンセリングは解決法のひとつであり「カウンセリングでなければ、絶対に解決できない」という悩み事はないと思います。
たとえば自分が夢中になれることに取り組むことや趣味や旅行、友人関係を楽しむ、または仕事や勉強に集中するなど、こころの成長させる方法はたくさんあります。 自分に合ったものを見つけるのが大切です。
悩みを解決する力を身に着ける方法はたくさんあります。それでもカウンセリングを受けてみたい、という思いがあれば、ぜひご来談くださいませ。
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